独活寄生湯(どっかつきせいとう)|慢性腰痛・腰背部痛に用いる韓方処方(Duhuo Jisheng Tang)
ソウル・大林洞(テリムドン)のハンサラン韓方医院では、伝統的な韓方処方である独活寄生湯(どっかつきせいとう / Duhuo Jisheng Tang)をご紹介します。この処方は慢性的な腰痛や腰背部痛に広く用いられ、肝腎を補い、筋骨を強化し、風湿を除くことで体質を整えながら痛みを和らげます。
韓医学における慢性腰痛の考え方
韓医学では慢性腰痛を単なる筋肉や骨格の問題とは見なさず、肝と腎の機能低下および風・寒・湿の侵入によるものと考えます。肝は筋を司り、腎は骨を主るため、この両者が虚すと筋骨が弱まり、外邪が侵入しやすくなり、痛みが長引くとされています。
第一の効能:肝腎を補い、筋骨を強化
独活寄生湯は単なる鎮痛ではなく、身体の基盤を補うことを目的としています。肝腎を補うことで腰部と下肢の安定性を高め、慢性腰痛の再発を防ぎます。
第二の効能:気血を養い、回復力を高める
慢性的な痛みは気と血を消耗します。本方は四君子湯(補気)と四物湯(補血)の理論を組み合わせた構成で、八珍湯に似たバランスを持ち、疲労感を軽減し、循環と再生力を促します。
第三の効能:風湿を除き、炎症とこわばりを改善
韓医学でいう「風・寒・湿」は、現代医学的には炎症、浮腫、筋肉のこわばりに相当します。独活、防風、細辛、桂心(シナモン)などの生薬がこれらを除き、痛み・こわばり・腫れを緩和します。
出典と歴史
独活寄生湯は唐代の名医孫思邈(そんしばく)による医学書『備急千金要方』に初めて記載された処方です。原文では「風寒湿痺、腰膝疼痛、筋骨攣急、肢節重著を治す」と記されており、肝腎を補い、気血を養い、風湿を除く代表的な治療法として伝えられています。
主な構成生薬
- 補血・活血:当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、熟地黄(じゅくじおう)
- 補気・健脾:人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)
- 強筋・健骨:桑寄生(そうきせい)、杜仲(とちゅう)、牛膝(ごしつ)
- 祛風・除湿:独活(どっかつ)、防風(ぼうふう)、細辛(さいしん)、桂心(けいしん)
※実際の処方は体質や症状に応じて調整されます。
独活寄生湯が適している方
- 腰や膝に力が入らず、鈍い痛みが続く方
- 慢性的な腰痛・関節痛、身体のこわばりがある方
- 寒い日や湿度の高い日に痛みが悪化する方
- 冷え性や倦怠感があり、体力の低下を感じる方
- 中高年の退行性腰痛や産後の腰痛に悩む方
併用できる韓方処方
独活寄生湯は主に煎じ薬として使用されますが、症状により他の製剤と併用することもあります。
- 丸剤:独活続断丸(どっかつぞくだんがん)、杜索五活飲(とそくごかついん)
- 顆粒剤:三気飲(さんきいん)
- 併用例:変形性関節症には羌活止痛丸(きょうかつしつうがん)と併用される場合があります。
服用方法と注意事項
- 服用時間:食後30〜60分が目安です。
- 適応:急性期よりも慢性期や退行性の痛みに適しています。
- 注意:発熱や赤く腫れた急性炎症がある場合は服用を控えましょう。
- 妊娠・授乳中や持病のある方:韓方医の指導のもとで服用してください。
免責事項:
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、効果には個人差があります。正確な診断と処方は韓方医による診察に基づいて行われます。
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